もうお馴染み、お台場メディアージュのレイトショーで話題の「DEATH NOTE-前編-」を観に行った。累計1400万部以上の売り上げを誇り、完成度が高いマンガだけに、興味がありつつも、ドッ白けだったりして…と期待している自分と、こんな映画を観てきっと後悔すると言っている自分がいたりしてなんだか変なワクワク感で座席に着く。
さてさて、率直な感想は…面白い!これはホント期待していなかった割りにはとかじゃなくて、素直に面白かったし、良くできている。マンガが長い作品であるから、それを2時間に凝縮すればそりゃ展開も多いし、色々と山場もあるし…という事もあるかもしれない。だから、色々と詰め込んだなーっていうところもあるけど、ノートのことも解りやすく、マンガを知らない人も楽しめるように作っていて、オリジナルストーリーも衝撃的。2時間中だるみもなく展開する。
短い時間の中で月の天才加減と正義から悪へ変貌する心理描写もどうやって出すのか?というところも、さすがに、後フォローもあざとい月の描写は描いていないものの、それが無くてもオリジナルストーリー部分一発でなんて奴だって思わせてしまう巧さが光る。
そして、このマンガを映画化するにあたっていくつかの難関があると思ってた部分。まずは、このマンガの魅力でもある知略戦部分に関してはちょっと弱い気もするけど、それに捕らわれすぎると、短時間ではただ?な訳のわからないマニアな映画になってしまうので、解りやすくするのはイイと思うし、マンガを読んでいた僕個人としても、十分だろうと思う作りだった。ちょっと、甘い評価かもしれないけど。
僕は知略戦部分よりも気になっていた部分があって、このマンガをどのようなものと捉えているかは人それぞれだとは思うけど、僕はサスペンスでもなければホラーでもミステリーでもなく、ファンタジーものという風に思ってマンガを読んでいたので、それをどう表現するか?というところ。正直、月が藤原竜也というのが見た目のイメージ的にどうなんだろって思っていたけど、やっぱり、演技が上手いし、成功している。舞台系のちょっとオーバーな演技が良い意味でファンタジーであり、マンガという部分を表しているところが非常に良かった。鹿賀丈史を起用したことも同じ効果があると思うし、そういう冷静に考えるとオーバーな表現がリュークとのバランスも取れていて全体的なトーンが保たれている。だから、マンガでは成立するけどリアルに考えればそれはちょっと無いだろって思う部分も違和感なく見れる。
残念なところを挙げれば、やはり、リュークのCGかな。もうちょっとリアルな表現でも良かったんじゃないかと。もうちょっと今時のCGならいけると思うし、たとえ、狙いでマンガっぽさを出したのかもしれないけど、画面のバランスを見ると、やはり、もうちょっとリアルでも良かったと思う。中村獅童の声で救われているとはいえ、正直ヒドい。
後はLの演技がダメ。と書いてしまうと致命的っぽいけど前編ではそんなにLが登場しないから全体に影響するほどでもない。しかし、後編で月と対峙していく時に前編のような演技ではとても藤原竜也には対抗できる感じではなかった。
評価している部分と矛盾はしていて欲を言えばって部分なんだけど、宣伝文句ではやはり知略戦っぽさを出しているけどもその割りにはそこが弱い。もっと月とLを天才っぽく見せることは出来なかったのだろうか?映画として上手くまとまっているだけにこれ以上どうしたら良いっていう方法が難しいんだけど…。後、オリジナル部分のラストでもっと悲惨な描写をしても良かったかな。ちょっとキレい過ぎるんだよね。もちろん、月の非情さや巧みさは伝わるんだけど、もっと、血がどびゃっと出て惨劇っぽくしたほうが、ラストのオチ部分がより効いてくると思うんだけどな。
そして、これは、映画としては別に成立していて単なる好みでしかないし、まだ映画の中でもそんなに出てこないから直接映画の評価には関係ないけど、ミサミサが戸田恵梨香だということ。イメージと違うんだよなー。オリジナルキャラの秋野詩織は良かったけどね。
とはいえ、マンガを読んだ事のない人は十分楽しめるし、マンガ読者も曲がった見方をしなければ面白く見れるであろうオリジナルストーリーで、後編が一体どういう展開をするのだろうと期待させる映画でした!
→DEATH NOTE-デスノート-