まず、一番残念だったのは、ホテル内のこと。種田陽平氏のデザインしたホテルのエントランスやスイートルームのデザインを先に見ていて、すっかりこのようなモダンな世界観で展開されるオシャレな感じを想像していたのだけど、旧館と新館という分け方を最初から会話の中でふっていて、普通の大きいホテルのシーンが多かったこと。もちろん、色々と大変なことがあって仕方のないことだとは思うけど、冒頭からそれで、誤魔化しているようにも聞こえ、少々残念だった。
次に、これは三谷幸喜作品として割り切って見ていれば特に気にしないところではあるので、この映画の良いところでもあり、ちょっと疑問符の所でもあったりして、どう捉えるかは見た人によってずいぶん違うと思うところ。先にも書いたけど、常にある一定のテンション、笑いの幅というのがあって退屈しないのだけど、特に大爆笑も無い。最後にすごい盛り上げるわけでもない。一応多少は盛り上がっているけど、尻上がり調にどんどんテンションが高くなって居るわけではない。だから、深い感動をするわけでもない。三谷幸喜という人物の知的で綿密なシチュエーションムービーであるということが印象に残っているだけと…これが良いのか悪いのか…うーん。これはそういうものとして見るのが正解なんでしょう。
あと、ちょっとだけ物足りないといえば、オンタイムで物語が進んでいくということだったのだけど、たしかにそうだったといえばそうだったような気もするけど、さほどオンタイム感があるとも思えない気もする。それはそれでいいのかな。その程度のものなんでしょうか。でも、この制約のおかげで、深さはないけど常に楽しめるという展開になっているのは間違いないです。
とは言え、面白かったのには間違いないし、知的シチュエーションぽいとはいえ、超豪華キャストがたくさん出ているので十分取っつきやすい映画ではあると思うので、ドッカンと笑わなければコメディーじゃない!とい人以外は大丈夫だし、映画に大きな意味とか求めなければ、クスクスの笑いが連続で楽しめると思います。