そんな物語を追っていくわけですが、見所は、今回の主演である深津絵里。おおむね幼少期の人形を操作しているので、純粋に役者というよりは1/3位はある意味声優的な演技といっても良いのだが、その春琴の奇人的な表現がとても魅力的でグイグイと引っ張られる感じがした。
ストーリー自体は非常にわかりやすく、ハッキリ言ってベタな感じではあるのだけど、ナレーター役の立石凉子の朗読が雰囲気がよく、聞きやすく、舞台をわかりやすく演出している。
舞台上では、先にも書いた春琴を人形にしてそれを操作し、演技するというところと、細い角材を出演者がもって、それを色々に動かして、伏間や木など表し、実際には見えない部屋の間取りや位置関係を表したりと工夫がされている。まあ、後半はその角材や畳で何が表現できるか?というアイディア合戦になっていたのがちょっと笑えてしまうのだが…。
無駄な内容やいかにもというちょっと苦い感じはあったものの、比較的面白い作品だと思う。まあ、これを見たから感動するとか、考えさせられるとかは、全く無い単なるSM男女の話ではあるので、深津絵里のエキセントリックぶりすごいぞ!といったところでしょうか。