映画ドラえもん『新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』



2011.03.19 (土)
PM:11:08:31



[ Theater ]


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有楽町日劇にて毎年恒例の大長編ドラえもんシリーズ「ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜」を観に行ってきた。
大長編ドラえもんシリーズの最高傑作として1番に挙げる人も多い鉄人兵団のリメイク版。今回の監督は新魔界大冒険で話題を集めた女性監督の寺本幸代が担当すると言うことで大長編ドラえもんの中でも1番と言っていいハードな作品をどのようにアレンジしていったのか?そこも注目でした。

かなりの期待値でこの映画は楽しみにしていたので、もう見る前から泣く準備をしていたようなものです。まず、1番に感じたことは、この地震の後に観に行ったのでハードな破壊描写がリアルにかぶってしまったことでグッとくるものがありました。映画の中では人のいない世界での破壊でしたがやはりそうは言ってもタイミング的にもの凄く痛々しい描写です。ちょっと、子供とかTVの映像とダブってかわいそうな気もしました。

映画のリズム的に前半は割とコミカルな部分もありつつ会場でも笑いが多く(新作で定番のあたたかい目もあったり、のび太が電話するシーンで特命係(相棒)があったりするのも笑えます。)、後半のハードな正解にどどーっと雪崩れ込んでいきます。前半部分でも一部、しずかちゃんの誤操作でビルが倒壊するシーンは原作以上にハードに描かれ、女の子がとてつもない恐ろしさを目の前にする感情的な部分がうまく表現されています。これは、かなりドキッとする演出です。

これ以降、前段は割と淡々と進んでいきます。

今回、旧作と大きく違うのは、ピッポの存在。旧作ではロボットだからとジュドを改造して思考をコントロールしてしまいますが、今作ではヒヨコ型ロボットへ改造し、ロボットとも友情が芽生える、友だちになれるという細かな心情が描かれているところにある。ゆえに、スネ夫のロボット、ミクロスも単なるおもちゃとして登場するのみ。

それによって、旧作でのラスト、ドラえもんとのび太、ジャイアン、スネ夫の大喜びしている情景としずかちゃんのリルルが消えてしまった悲しみとのギャップがあった部分が、今作ではのび太とピッポとの友情としずかちゃんのリルルへの悲しみがそれぞれ描かれており、テンションのギャップが無い。

それはそれで、うまいことドラえもんの存在を活かしつつ良い方向に描かれているのだが、欲を言えば、ピッポの存在があることで、のび太たちとリルルの絡みが希薄になりリルルに対して銃口を向けてしまうのび太の心情にそれまでの行動とのギャップが少々生まれてしまっているところが気にはなった。ま、それはほんと、そこまで出来ていれば完璧という部分であってだからダメということではない。

この鉄人兵団の特徴でもある、しずかちゃんの別行動により、のび太達としずかちゃんの気持ちのギャップという部分が、結局は大きくは絡まなかったとはいえ、それぞれ別のキャラクター達によって同じテンションになっていくということで解消されているというのは良いアレンジだとは思います。旧作ではしずかちゃんが主人公のようなものでしたからね。とはいえ、今作では女性監督ということで、特にしずかちゃんとリルルとの心情は丁寧に描かれています。例えば寺本監督のインタビューを読むと、しずかちゃんとリルルとの最初の出会い、かなり良い空気感で描かれているのですが、背景に咲いている花はヒメツルニチニチソウという花言葉は「やさしい思い出」、そして「揺るがぬ献身」という意味だそうで、それが二人の関係を暗示しているとのこと。新魔界大冒険でしずかちゃんと美夜子の女同士の心情を男性には出来ない演出で描いた監督ならではの演出だと言えます。

友情表現を主体に置きつつも、根本的には旧作にある、人間を奴隷化する目的であったり、メカトピアの差別格差を細かく説明したり、博士が死亡してしまうことだったり、存在そのものが消えてしまうことだったり、と、やはり、ドラえもん史上1番ハードな作品であることにはかわりありません。結構悲しくなってきます。それに加えてキャラクターの心情表現が主軸にあることで物語はかなり味のあるものにアレンジされてなんだかいつものドラえもんとはひと味違う作品になっています。

総合的に、やはり僕の中では恐竜が1番なのですが、今回の鉄人兵団もかなりの高得点です。もちろん、映画ドラえもんの作画は素晴らしいですし、テンポもバランスが良い、ストーリーもうまくアレンジしてあってまとまっている、ただ、歌がねーイマイチなんですよ。グッと来ない。恐竜のときのように歌のシーンでグッと来ないんです。それだけは残念でしかたありません。

「はばたけ天使たち」というサブタイトル、観る前、なんだこれ?と思って忘れていたのですが、これは、原作に加筆された最後の部分のことでした。サブタイトルにするなら、ちょっと、最後の最後表現をもうちょっと、分かりやすく劇的にしてもよかったかも…と思いつつも、今回のアレンジで自然に繋がるシーンになったと言えるでしょう。

予告篇にあったザンダクロスにのび太が搭乗して戦うシーンはなかったのですが、これはどういう経緯でなくなったんでしょうかね。たしかに、現状の流れだとちょっと入れるのは厳しいとは思うんですけど、ちょっと期待しちゃいました。そして、恒例の来年の映画のヒント映像ですが、順番に行くと来年は原作を組みあわせたオリジナルの番です。内容はモアという動物が出てくるのですが、調べてみると、のび太と雲の王国に出てくるんですよね。でも、前も、海底鬼岩城と思わせぶりの、人魚大海戦というパターンだったので、そう考えるとコミック原作のアレンジと考えて良さそうです。コミックス17巻に収録されている『モアよドードーよ永遠に』というエピソードがあるそうです。

個人的には海底鬼岩城、小宇宙戦争あたりがみたいんですけど、のび太と雲の王国も結構好きな作品なので、オリジナルじゃなくて、のび太と雲の王国を素直にやって欲しいところではあります。

→ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜







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